電子手形とも呼ばれる電子債権(でんさい)の詳細について解説します。

電子債権(でんさい)とは?

 

電子債権とはなんだろう

電子債権は「電子記録債権」の略で、「でんさい」や「電子手形」とも呼ばれています。
2008年10月に電子記録債権法の施行によって登場した手形・売掛債権の問題点を克服した新しい決済方法です。
簡単にまとめると、従来は紙で発行していた約束手形(商業手形)を電子化して取引するもので、コストと手間を削減できてセキュリティにも優れています。

 

 

手形と電子債権のルールの違い

 

電子債権は約束手形を単純に電子化しただけではなく、以下のルール変更が行われています。

 

金額

 

手形 電子債権

制限なし

1万円~100億円

 

 

売掛サイト

 

手形 電子債権

制限なし(一般的には120日以内)

7営業日以降1年以内

 

電子債権の利用できない金額や期間は手形でも活用されていないケースがほとんどです。
売掛サイト1年以上の建設関係の大きな仕事では活用できないこともありますが、ほぼ全てのケースで手形から電子債権に移行してもルール上の問題ありません。
早期現金化するときは、手形と同じように電子債権も割引・譲渡できます。

 

 

電子債権を利用する方法

電子債権の利用には口座が必要

電子債権を利用するには、金融機関から構成される「でんさいネット」に参加している金融機関を活用する必要があります。
国が普及を呼びかけているサービスなので、主要な金融機関であれば問題なく利用でき、商工中金なども参加しています。

 

でんさいネットに参加している金融機関で申込を行い専用口座を開設する必要があります。
債務者側(元請側)は審査を行われ、受取側は通常の普通貯金口座と同等の審査内容になります。
なお個人事業主も利用できますが、屋号を取っていない個人は原則利用できません。
利用手続きが完了したら、ネットバンクか銀行窓口の書面によって、電子債権の発行や請求をできます。

 

満期前の電子債権は手形割引と同様に銀行で割引によって早期現金化をできますし、譲渡記録を残すことで裏書譲渡と同様に手形割引専門業者などに譲渡することが可能です。
譲渡記録は5営業日以内であれば取り消しすることができるので、裏書をすれば手続き完了になる手形より安全性が高いです。

 

 

電子債権のメリット・デメリット

 

電子債権のメリットでセキュリティが高い

 

電子債権は手形に比べて以下のメリットがあります。

  • 安全性が高い(盗まれたり偽造される心配がない)

  • ネットバンクを利用できるので手間が少ない

  • 二重譲渡などのトラブルリスクが少ない

  • 手形と同様のルールで取引停止ペナルティがあるので、支払遅延を起こすリスクが少ない

 

 

手形と同様に、元請業者が破綻した場合に、下請け業者に損失が発生するデメリットなどがありますが、安全面で手形に比べたデメリットはありません。
電子債権のデメリットは、双方がでんさいネットに申込をして専用口座を開設することです。
全国の金融機関が共通システムを使っているので、取引先によって複数の金融機関に口座開設する必要はありません。
申込手続きを完了してしまえばデメリットはほとんどありませんが、ネットバンクを嫌がる古い考えの経営者は、窓口で手続きするなら手形のみで十分だと考えるケースもあります。
手形は元請側が当座貯金口座を開設すれば、下請業者は手続き不要で利用できます。
元請の立場が弱い場合だと、下請に手間を取らせることを懸念して電子債権の導入を消極的になる事例もあります。